top of page
執筆者の写真Toapapa

#09 フライトシミュレーターのすすめ【フライトプラン編・3】

更新日:2022年6月16日




夏も本番になり、第101回夏の全国高校野球選手権大会(甲子園大会)が始まりましたね。



雲は湧き 光溢れて  天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ  若人よ いざ 眦は 歓呼に応え  いさぎよし 微笑む希望  ああ 栄冠は 君に輝く

この「栄冠は君に輝く」を聞くと、夏が始まったなぁ~…って思うんですよね。私も一応高校球児だったので。白球を追いかけていましたw 長崎県大会2回戦負けですがw


我が長崎県代表、海星高校は8月12日、福島県代表の聖光学院との初戦となります。頑張ってもらいたいですねぇ~。

個人的には広島県代表の広島商が気になります。15年ぶり23回目出場の古豪復活。昔はコツコツと確実に点を取る野球が特徴でしたが、今年のチームはどうなんでしょうね。広島商は10日、隣の岡山県代表、岡山学芸館との初戦です。

 

では、フライトプランの続きといきましょう。



SID(今回は「OUMI ONE DEPARTURE」を使用)の終点「HIKNE(ヒコネ)」までは、前回の記事でなんとなくつかめましたか?


ここからは航空路を使って長崎空港の近くまで作る必要があります。長崎空港の近くまで来たら運用されている滑走路に向かってSTARで降りていく必要があります。同時に最終のアプローチ方法も考慮しなければなりません。


ここで使用する「OUMI ONE DEPARTURE」ですが、実はページを下にズラしていくと「HIKNE」のウェイポイントから「TRANSITION(トランジション)」という、その後の経路が設計されています。SIDと航空路をつなぐ転移経路 (transition route)といいます。必ずしもSIDに設定されているわけではありません。



今回使用する「OUMI ONE DEPARTURE」は「PIONE TRANSITION」「TANGO TRANSITION」の2つの経路が設計されています。「TANGO TRANSITION」の方は鳥取、島根の方角に進むルートのようですので、ここは瀬戸内近くのルートである「PIONE TRANSITION」を使用したいと思います。


【ここまで、出来上がったルート】

RJGG > RWY32 > OUMI ONE DEPARTURE(SID) PIONE TRANSITION > PIONE...


ですので「PIONE(ピオーネ)」というウェイポイントから航空路づくりを始めましょう。


では、目的地である長崎空港に目を向けてみましょう。何回かフライトプランを作成(勉強)していると、着陸で使用する手前であるSTARがどのウェイポイントから普通は始まっているのかは覚えるようになります。

長崎空港が使用しているSTARを見てみると、「OHGIE(オギ)」というウェイポイントから始めっていることに気づくことでしょう。(長崎はたくさんのSTARがあるわけではありませんので簡単ですね)



ですので「OUMI ONE DEPARTURE」で「PIONE TRANSITION」の終点「PIONE」から、STARの始点「OHGIE」までの航空路を作成すれば良いと考えます。


話はちょっと脇道にそれます。


航空路と一口に言っていますが、実は2種類(本当は3種類かな?)あります。

通常の航空路とは、VORやNDBという航空機が使う無線施設(ステーションとかもいいます)が地上にあり、その無線施設を直線で結んだ経路をいうそうです。昔から使われている飛行方法ですね。無線施設については、時期のいい時に少しお話を入れていきたいとは思います。


無線施設は無限に地上に設置されているわけではありません。設置する土地、それに伴う設置コスト、施設維持のためのランディングコストがかかりますからね。そんなに数多くあるわけではありませんし、最近では減らしていっているという情報も聞いたことがります。(本当か知りませんがw)

そんなに多くないポイントを結んでいる航空路となるわけなので、大空港の近くの無線施設では、そこに集中する航空機の数も多くなるのは予測できますし、空港から空港でのルートを作るにしても直線的に作れるとは考えにくいですよね。実際にはジグザグなルートになり非効率的です。


もう一つの航空路は「RNAV経路(RNAVルート)」といいます。


広域航法という方法での航空路のことを指します。これは既存の無線施設に依存することなく(依存しないと言ったら語弊があるかもしれませんが…)、任意の地点間を結ぶルートを指定することができるのです。この航法を使えるのは、この航法を行える装置を装備した航空機や資格を持ったパイロット、許可を得たエアラインとなります。


近年ではGPSを利用したGNSS(衛星測位システム)が利用され、より正確な航空機のポジションを把握することができるようになりました。任意の地点のウェイポイントをプラン上に使うことにより、より自由度の高いルートや、直線で効率的なルートを作れるようになりました。

「VOR/DME」というのは無線施設のひとつ


今回作成しているフライトプランは後者の「RNAV経路」となります。


話戻します…w

「はよぉ~、話進めろやぁ~」ってお声も頂戴するでしょうが、これが私のペースですのでw 気長にお願いしますw 


「HIKNE」「PIONE」や「OHGIE」は無線施設ではありません。任意のウェイポイントとなります。今回使用する予定の「PMDG737NGX」という航空機アドオンソフトは、このRNAVに対応できます。デフォルト(最初から入っている航空機)でも、この航法は可能とは思いますが、のちのち出てくるFMC(Flight Management System・飛行管理装置)に絡みますので「PMDG737NGX」での航空機使用を前提にお話進めますからね。


では「PIONE」から「OHGIE」までの航路を作ってみましょう。「PIONE」から伸びている航空路を見てみると…


「Y281」「Y28」という2本の航空路が伸びているのがわかります。長崎方面に向かうには「Y28」のほうが良さそうです。なぜなら福岡上空まで伸びていますし、「Y281」は「STOUT(スタウト)」というウェイポイントで終点になっているので、ここから別の航空路に乗り換えないといけませんし、「Y28」の方が直線的で、この先使用をしているSTARの始点である「OHGIE」にも近い、福岡の海の中道近くにある「DGC」というポイントまで伸びていますからね。


この「Y20」とか「Y207」は航空路の名前でして、道路に例えると「国道35号線」とか「県道128号線」、高速道路だったら「長崎道」とか「山陽道」なんていうものと同じと思っていただいていいと思います。


ということで「PIONE」から「DGC」まで伸びている「Y28」という航空路を利用して、そこから「OHGIE」まで「Y204」を使って行くとしましょう。



やっと「OHGIE」まで持ってこれましたね。


長崎空港は北風が吹いていると仮定してお話進めます。

長崎空港の滑走路は1本でRWY32とRWY14となっていますので、北風運用はRWY32を使用します。RWY32への着陸、アプローチ方法はチャートを見るといくつかあるようですが、今回は「ILS Z RWY32」の方法を使用しようと思います。



「ILS」とは何なのかは、多分この文章を読まれている方は知っていると思いますので、ここではお話は割愛します。実際に飛行をしている時の解説時にお話をしていくことにしましょう。このアプローチ方法に乗せることができるSTARは「FUBUKI ARRIVAL」となることが、チャートを見てみるとわかると思います。



故に「OHGIE」からは「FUBUKI ARRIVAL」のSTARを使い「ILS Z RWY32」というアプローチ方法でランディングするということになります。

「FUBUKI ARRIVAL」は始点の「OHGIE」から長崎空港の南東に位置する「FUBUKI」のウェイポイントまでのルートとなります。



上記が「ILS Z RWY32」のアプローチチャートとなります。STARの終点の「FUBUKI」から始まっているのがわかると思います。「FUBUKI」からILSの電波を頼りに長崎空港のRWY32へ着陸します。


さぁ、これで中部セントレア空港から長崎空港までのフライトプランを作成することができました。



結構大変でしょ。このフライトプランを出発空港、到着空港が変わるたびに作成しなければなりません。実際はこれに巡航高度なども考えなければならないんですね。いちいち、このような手順でフライトプランを作り上げていくって面倒です。


そこで、このようなフライトプランを作成できるアドオンソフトがあるのですw

「先に、そっちを教えろぉ~」は無しでw


私が使用しているのは「PFPX(Professional Flight Planner X)」というソフトになります。ちなみに有料(41.62ユーロ/約5,000円弱)です。「また、金がぁ~!」と思われるかもしれませんね。


実はネット上に、このフライトプランを作ってくれるところがあるのです。「SimBrief」というサイトですが、こちら無料にてお使いいただけます!



英語サイトになります。事前の登録や、機体の情報登録などの作業もありますが、何度が使っていると、そんなに難しいものではありません。ここではこのサイトの使用方法は割愛します。他のフライトシム解説のサイトでは導入から基本的な操作まで解説をされているページがありますので探してみてください。(例えば、こちら


ちなみに、この「SimBrief」で上記のフライトプランを作成させると以下のようなルートを出してきます。(いくつか候補を上げてくれます)


「OUMI1 PIONE Y28 DGC Y204 OHGIE FUBUKI」


ここまで、読んでいただいた方は上のフライトプランはなんとなく分かられるのでは無いでしょうか…?

「OUMI1のSIDでPIONEまで行き、Y28を使ってDGC、その後Y204を使ってOHGIEまで、FUBUKIのSTARを使ってランディング」



今回いちから作成した航路と同じですね。


上記のようなマップも表示されます。ルートが表示されるのでわかりやすいですね。また、SIDやSTARもテイクオフランウェイ、ランディングランウェイを考慮して作ってくれます。


追記(2021/04/20)

「SimBrief」については、こちらで詳しくご紹介しています。


実際フライトシムでフライトプランを作られている方は、このようなWEBサービスや、アプリケーションを使用して作成されているものと推察します。

とりあえず、今回はフライトプランを作成するというところだけをフィーチャーしていますので、その中に出てくるチャートの見方などは割愛しています。時期を見てお話できればな~と思います。


ぶっちゃけて言えば、何処をどう飛んでも、フライトシムの場合はあなた次第です。あなたの好きなように飛べばいいのです。形になんて別にこだわらなくてもいいんですよ。

ただ、本物っぽくフライトプランを作って飛ばしてみたいなぁ~と思っている方は、上記で解説したような方法を使っても良いと思います。


また、このようにフライトプランを作成していると、実際にご旅行とかお仕事で飛行機を使う際に、「今日は北風だから、RWY32から離陸するんだろうなぁ~」とか「このルートは、OUMI ONE DEPARTURE、だなぁ~」なんてわかっちゃったりします。楽しいでしょ?えっ、それほどでもない?w


重ねて言いますが、これはあくまでもお遊びで行うフライトプランの作り方ですので、実際の運行に共通している点もあれば、全く異なる場合もありますのでw


ご参考にされる程度でお願いしますね。


では、次回は…、実際にフライトシムを動かして、このルートを飛んでみましょう~。


 

このフライトはフィクションです

実在の人物や団体などとは関係ありません

また、表示されている情報、手法、方法等が必ずしも正しくはありません

 

バックナンバー

Comments


bottom of page