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  • 執筆者の写真Toapapa

Microsoft Flight Simulator リリース間近


Microsoft Flight Simulator(以下、MSFS2020)が発売をされるまで1週間を切りました。発売日の発表から約1ヶ月前に私の方にもやっとAlpha Builderの招待が来て、少し前ですがMSFS2020をプレイできるようになりました。各種設定などを弄くりながら私のPCでも、そこそこ使える環境設定を模索しているところです。

もちろんリリースされているバージョンより前のものになりますから、すべての機能を使えたわけではありません。数十年の沈黙を破り再びフライトシミュレーター界に戻ってきたMSFS2020。NDAの範囲内で、どのように進化して、どう感じたのかを書いていきたいと思います。


1)衝撃的な復活劇


Flight Simulator10が発売されてからMicrosoftのフライトシミュレーターは沈黙を続けました。(英語版は2006年10月に、日本語版は2007年1月にそれぞれ発売。途中、Microsoft Flightという作品が出ましたが、超駄作なので数に入れませんw)マイクロソフトのMSFS(Microsoft Flight Simulator)開発チームのACE Studioが2009年1月に解散されたため、Flight Simulator10が事実上の最終作となりました。メジャーなフライトシムを失ったフラシム民は、PCのハード性能が向上してもソフトウェアがバージョンアップしないというジレンマを抱えながらも使い続けていました。


他にもフライトシムがなかったわけではありません。事実上ライバルであるX-PLANEは開発とバージョンアップを続け、根強いファンを獲得していましたし、ロッキード・マーティン社は、Microsoftのシミュレーションプラットフォームの知的財産を得て、新たなフライトシムのPrepar3D(以下、P3D)を制作し販売をしました。


そんな中、約14年間の沈黙を破り2019年のE3(Electronic Entertainment Expo)で突然MicrosoftがMSFS2020の発表をしたのです。フラシム民はもちろんざわつきました。私を始め、もう復活などないと思っていたフラシム民が、MSFS2020の発表に驚いた事はもちろんですが、それ以上に衝撃的だったのはそのフライトシムの動画だったのです。今までどのフライトシムでも見たこともない景色が広がっていたのです。まるでリアルを見ているかのような動画でした。度肝を抜かれたのです。



2)これまで見たことのない風景


ここ数十年、PlayStation、XBOXなどのコンシュマー向けのゲームは飛躍的な技術向上をしてきました。光、水、空気、人物の動きや表情などなど、まるで映画を見ているようなストーリーに心を奪われるプレーヤーも数多いはずです。私もその一人でした。ゲーム業界で培われてきた技術が、今作のMSFS2020に組み込まれ、衝撃的なフライトシムが生まれることとなったのです。


注目すべきは、Microsoft Azure AIを使ったWorldです。Bingのマップデーターを使い、地球まるごと3Dデータによって構築されてます。15億強の建物、約37,000の空港。2兆本の木々が存在し、建造物や木々などはに至っては衛星データからAzure AIを使い自動生成されます。


データサイズはトータルで約2,000TBクラスになるということです。データサイズが大きいことで有名な「レッド・デッド・リデンプション2」のデータサイズが100GBですから、約2万倍データになります。そりゃ~全地球まるまるですからね。データ量が非常に大きいのでエンドユーザーのPCにはインストールは不可能です。表示している地域をクラウドからダウンロードしながらプレイする仕組みとなっています。一応オフラインでも飛べるようにはなっているようですが、回線速度の推奨は50 Mbpsとなっているようです。


実際の衛星データを使っているのですから、広がる風景はまるで本物のよう。没頭感が半端ない世界観となります。衛星データとなると上空からのデータになるので屋根しか写っていません。その屋根の形状、色などから側面の壁などをAIが予測し自動生成するというもの。これだけの自動生成(木々なども)があるとフライトシム自体は高負荷がかかり処理が追いつかず、いわゆる重くなる現象が発生するのですが、私のそれほど高スペックではないPCでも、驚いたことに意外とスムーズな描画をやってくれるのです。同等の描画を前記したX-PLANEやP3Dに行わせると激重になるのは確実でしょう。



一度、プレイしてみたらお分かりになると思いますが、これほどVFR(有視界飛行)が楽しいのかと感じることでしょう。初期時代のMSFSをプレイしていた頃のワクワク感が戻ってきたかのようです。

たぶん、プレイをはじめたらご自分の街にフライトしたくなると思います。見慣れた町並み、山々、川や橋、港に幹線道路…。必ず自宅上空など見に行きたくなると思います。感動することでしょう…。


見慣れた風景だけではありません。一度も行ったことのない国内や海外の街へ。知らない空港から飛び出し、気ままに風景を見ながらフライト。疲れたら近くの空港を探してランディング、そして一休み。休憩ながらにコーヒーとタバコ片手に一休み。そしてまた離陸…。そんな優雅なフライトライフを楽しめてしまいます。(現に私はベータ版ではこんな感じでフライトばっかりしていましたw)



3)生きている大気


フライトシムの中で、雲や天気の存在は主役みたいなものです。気象の影響を大きく受ける航空機や飛行機には切っても切れない関係なのです。リアリティのある天候変化や描画はよりリアリズムを生み出すことになります。

MSFS2020での気象表現は素晴らしいものがあります。ベータ版を使い始めて最初に驚いたのは降雨です。これまで使っていたフライトシムでの、降雨表現は「雨が降ってる」と「雨が降っていない」の2つでしかありませんでした。突然ザーっと降り出し、ピタッと止むのです。

MSFS2020は雨雲が近づいてくるとポツポツと雨が降り出し、だんだんと雨が強くなっていきます。雨雲が抜けてくると、次第に雨の強さも弱くなってくるのです。運が良ければ降ってくる雨柱が近づいてくるのがわかることでしょう。コンシュマーのゲーム機では普通に表現できていた降雨描画もやっとフライトシムでも体験できるようになったのです。



雲の描画も良いものがあります。好き嫌いが発生するかもしれませんが、ワタシ的には満足しています。特によいと感じるのは、雲の影と立体感です。

影の表現については、高階層にある雲の影が下階層の雲に映るのです。この描画もこれまでのフライトシムでは見たことがありません。32レイヤーにわたる階層で雲の表現を行っているようで、リアリティをますます増します。


既存のフライトシムでの雲は、どうしても2Dでの表現(P3Dv5では立体感がでたが…)が否めませんでした。雲の真上を飛ぶとクルクルと雲が回転(自機に正面を向けようとする)するのです。MSFS2020では雲自体に体積があるので、上から下から側面からとその形を表現しています。



空気の流れも計算されます。地表に近づくと熱せられた地面により上昇気流が生まれ、不安定な気流状態になることがあります。このような空気の流れも計算されフライトに影響してきます。山に近づいたり、高度を落としていくと上昇気流に煽られてフラフラとふらつく飛行機に気がつくことでしょう。


雷の表現ですが、私が不満に感じている点があるのです。私感ですが、現販売されている環境アドオンの雷表現のほうが遥かによいと感じています。今後の環境アドオンに期待です。




4)光と影


前記したように雲の上に雲の影、というような描画あるように、他の光表現も多彩となっています。例えば晴天の日と雲天の時の海の色、街の色はもちろん違っています。同時に水面に映る建物の色も変わります。夜間の街の明かりも表現豊かで満足のいくものとなっています。月明かりも表現され水面に写ります。新月の日で街頭がない地域では満天の星空を見ることができるでしょう…。


たくさんのライトが配置された空港は格別です。まるで暗闇にある宝石箱。(別話になりますが、私の愛孫が737のコックピット見学をしたときに、その計器類を見て「宝石箱みたい~!」って言ったのが印象的でしたw)これまでのフライトシムは夜になると重くなる傾向がありましたが、MSFS2020ではそれほど感じません。ナイト・フライトも楽しいものになっています。


晴天の蒼い空、朝焼けの雲、海面に映る夕日、地表に雲や高層ビル、山々のの影などなど。ビジュアルフライトを楽しませてくれることでしょう。



5)これからのフライトシム


フライトシミュレーターの分野ではMicrosoftは老舗ですが、このMSFS2020は新参者です。シミュレーターだけの観点から行くと、P3DやX-PLANEに勝っているとは現時点では言えません。確かに表現される描画については他のフライトシムより格段にいいものになったのでしょう。


ただ、フライトシムはエンディングのないゲームです。続けるゲーム。よって、シミュレーター的な重要要素が他のフライトシムと同様になるか、それ以上にならなければ、今後のユーザー獲得には疑問が残ります。


各種サードパーティの参加と互換、ATCの問題、システムの安定性、今後のVR対応等のアップデート等…。もちろん、他のフライトシムも次回作ではMSFS2020を意識したモデルを開発することは考えられます。(例えばGoogleMAPを使った環境などが出てくると衝撃的になる可能性があります)



Microsoftもビジネスとして展開をしていくのですから、今後の社会情勢、経済状況により急展開する可能性もあります。リリース当初は多々のバグも存在するでしょう。既存のフライトシム民を満足させる作品にはなっていないかもしれません。ただ、他のフライトシムも初めから安定した良い作品だったのかというと、そうでもありません。


十数年ぶりに復活をするMSFS2020には、いちフライトシムの愛好家として、今後に夢を持って期待したいと思っています。


では、8月18日にMSFS2020の空で会いましょう。


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